
1月18日
会議初日。外は快晴らしい。インドでも西に位置しているこの地方は、予想通り夜明けが遅い。7時を回ってようやく日が差し込んできた。寒い中を小さなツバメが飛び交っている。Dusky
Crag Martin()のようだ。街中をトビ、シラコバト、ワライバト、カバイロハッカらが飛び回っている。
会場へはバスが用意されていた。バスは、アーメダバッドの街中をクラクションを鳴らしまくりながら、かなりのスピードで飛ばす。ラウンドアバウトでは、無理やり突っ込んで、車の流れを止めている。マレーシアでは、かろうじて守られている右側優先のラウンドアバウトのルールは、ここでは有名無実だ。皆好きなように動いている。
砂埃の排気ガスにまみれ、ホームレスが道路脇で洗濯物を洗っている。ゴミ捨て場?では、ウシやヤギがゴミを漁っている。ここでは人間も生態系の一部に取り込まれているらしい。
えらく長い道のりに感じたが、時計を見ると、会場まで10分ちょっとしかかかっていなかった。
会議の登録を済ませ、展示物を見に、会場をうろつく。会場は、主催団体の敷地内で、乾燥したアーメダバッドにあって、比較的緑の多い一角だ。聞くと、今年20周年になる同機関の設立時に、大量に植樹を行ったそうだ。緑多い敷地の中で展示物を見るのはなかなか気持ちが良い。
まだあまり人のいない展示会場の周りを、シマリスによく似たリスが我が物顔で何匹も走り回っている。賑やかな声で鳴き交わしているのは、Rose-ringed
Parakeet(ホンセイインコ)。東京の都心で野生化し、問題になっている鳥だ。綺麗な黄緑だが、「ケーッ、ケーッ」という声はあまりいただけない。藪の中から出入りする灰色の鳥はJungle
Babbler。生息環境は、どう見てもジャングルではなくscrubなのに、Jungle
Babblerとはこれ如何に!?
屋外での全体総会は埃まみれの中、行われた。全体総会というのは、たいがい、おえらいさんの話が何本か続き、なんの質問もなく進むもんだが、ここはインド、そうはいかない。主催機関の理事らしき人が、「なにか色々質問はあるでしょうが、時間がないので、後で各自個人的に質問してください」と先手をうつアナウンス。
500人もの人が一同に集まったお昼ご飯時間には、あちこちで長い行列ができた。ジャガイモをすり潰して、衣をつけて揚げたんやら、ダール(豆のスープ?)のようなものやら、さすがはベジタリアンの国!肉っけがまるでない。日々「焼肉!」、「牛丼!」と叫んでいる日本のドカタの兄ちゃんたちなら、きっと暴動を起こすだろう。
昼からはワークショップに出席。30人くらいしか入らなさそうな狭い部屋に80人ほどの人があふれた。プレゼンテーションの時間を与えてもらったのはわずか10人。これで収まるほど、インド人は物分りが良くない。当然ながら、「俺にもプレゼンさせろ!」という意見が相次ぐ。というわけで、翌日に数名別途プレゼンをすることに。プレゼンの後には恐怖の質疑応答時間。「君は生物多様性について、どう思っているのか」というような哲学的な質問やら、「コメントだけさせて欲しい」という意見やら、聴いている方が疲れてくる。コーディネーターもそこは慣れたもの。質問をしている途中でも、「その話は本題と関係ないから、後で個人的に聞いて」とばっさばっさと質問を切る。とてもついていけない・・・。
この日は夕方から自然をモチーフにした伝統舞踊?とやらを見せてもらった。一日に5回以上は食事をするという、マレーシア人の同行者たちは「腹が減った」と踊りの途中で抜け出して夕食へ。うーん、花より団子!
飯は食べたものの、送迎のバスが来ない。たまたま、同じホテルに泊まっているフィリピン人とアメリカ人と一緒になり、リクショーでホテルに帰ることになった。行きはバスの中で直に接しなかった埃と排気ガスで淀んだ空気が目や鼻や口の中に広がる。
リクショーは車やバイクの隙間を通り抜けていく。右側を大きなバスが通り抜けるときなどは、「潰さんといてな!」と祈るような気持ちである。
ホテルに着いて、部屋に入って、鼻をかんだら、鼻の中が真っ黒だった。

1月19日
この日は朝からエクスカーションに参加。Tol
Bird Sanctuaryへ。5時に目覚ましで起こされ、集合時間の5時半にロビーに下りたが誰もいない。5分経って参加者は集まってきているのに、バスは来る様子がない。どないなっとるんや?
6時になってようやくバスが到着。30分遅れだ。外はまだ真っ暗。しかも寒い。途中からさらに何人か乗せ、真っ暗な道の中をsanctuaryへ向かう。
Tolに着いたのは7時。着いていきなり、Asian Open-billed Stork(スキハシコウ), Painted Stork(インドトキコウ)らに出会う。ここには湖があり、その周辺が保護区になっているというところか。湖の中央には、Great White Pelican(モモイロペリカン), Common Crane(クロヅル), Greater Flamingo(オオフラミンゴ)などが群れている。湖畔の杭では、体温が暖まるのでも待っているのか、Black Drongo(オウチュウ)がじっとしている。
アカシアの藪を出入りしてるのは2種類のヒヨドリ、Common Chiffchaff(チフチャフ)。こげ茶色の尾っぽをぴんと立てた小鳥はIndian Robin(インドヒタキ)だ。
いつものことながら、新しく訪れた国での最初の探鳥は楽しい。遠くにワシの姿が見える。案内をしてくれた人たちが、"Tawny
Eagle? No, it should be Greater Spotted Eagle!"と議論を
している。この仲間はよー分からん。どっちか分かったら教えておくれ。
湖面をRiver Tern(カワアジサシ)が凪ぐように飛ぶ。こんな低い気温の中でアジサシを見ることなんて日本ではないので、違和感たっぷりだ。
上空を猛スピードで飛び去るのは、エリマキシギの群れだそうだ。この辺りには大規模な越冬地があり、かなり大きな群れが見られるという。でも、地味な冬羽ではつまらない。
この他にも、Hoopoe(ヤツガシラ: 写真右上), Purple Sunbird(ムラサキタイヨウチョウ: 写真左)などを見ることができた。
気がつくともう8時を回っている。会議は9時半のスタートだ!間に合うんかいな?と思っていたら、ちゃんと間に合わせるところがすごい。インドでは、万事が一時この調子で、なんだかよく分からないけど、いつの間にか帳尻があっているという感じだった。
会場には9時着。眠い目をこすりながら、ワークショップに出席した。