

1月20日
会議も最終日。全体セッションが終わった後、迎えに来た車に飛び乗り、一路Dasadaへ。DasadaはAhmedabadの北西120キロのところにあり、Wild Ass Sanctuaryの入り口になっている。
車は、アーメダバッドの喧騒の中を、クラクションを鳴らし続けながら飛ばす。しっかし、空気悪いなぁ、たまらんワ、こりゃ。
1時間を過ぎた頃、景色は一面綿花の畑に変わる。電線にはBlack-shouldered Kite(カタグロトビ)の姿が時折見え、Red-wattled Lapwing(インドトサカゲリ)が我が物顔で道路を横切る。
Dasadaのロッジに着いたのが午後6時半。約1時間半で到着した。ロッジは土壁でできた、この地方の伝統的な住居のスタイルを真似ているという。
埃まみれの体を洗おうと、シャワーの蛇口を捻ったらお湯が出ない。「そのうち、出るやろ」と思ったら、やっぱり出ない。おーい、熱い湯が出るって書いてあるのは詐欺かい!飯の時間にオーナーに聞いたら、「シャワーじゃないよ、蛇口だよ」だそうだ。先にそれを言って欲しかったなぁ。しかし、蛇口から出るしょぼしょぼのお湯では、体を洗うのもやっとだ。日が落ちて、急激に寒くなってきたので、結局シャワーを浴びるのは止めた。
夕食は7時から。のはずだったが、結局7時半からになった。待たされて、腹が減っていたせいもあったが、ここの飯は美味かった。外人向けにしてくれているのか、あまり辛くなく、それでいて、深みのある味の料理ばかりで、二日間、飽きることなく楽しめた。
食事の席で同席したフランス人夫婦は、インドに来るのが今回で5回目で、2ヶ月も旅行するのだそうだ。2ヶ月の休みが取れることもすごいが、そんなにインドを旅行して平気なのもすごい。一週間も経っていないのに、私はうんざりだ。
明日はイスラム教徒のお祭りだそうである。ガイドの兄ちゃん(ちょっとあごがしゃくれている)もお祭りに参加するのか、9時半の出発にしてくれといわれる。まぁ、しゃーないか。
飯を食べてはやることもない。歯を磨いて、とっととベッドにもぐりこんだ。

1月21日
今日は一日探鳥の日。それなのに、外は朝からどんより・・・。今にも雨が降りそうだ。
ガイドが来るまでまだ1時間以上ある。朝飯を済ませた後、ホテルの周りを散歩することにした
。
早起きのクロヅルたちが、群れをなして飛んでいく。前日の晩に煩いほど鳴いていたRose-ringed Parakeet(ホンセイインコ)も三々五々、飛び立ち始めた。食堂の裏を流れる水路に沿ってしばらく歩いていくと、アカシアの根元を何かがごそごそ動いている。オガワコマドリのオスだ。本来の生息環境はこんなところなのだろう。夏には赤と青のコントラストが美しい喉も、冬の今はあまり目立たない。「チュルルルッ、チュルルルッ、タッ、タッ」と弱い声で鳴きながら、葦の陰から姿を現わしたのは、コヨシキリによく似た、Paddyfield Warbler(イナダヨシキリ)だ。喉と眉斑の白が目立つ以外は、全体的に褐色をしている。ヨシキリにしてはあまり尾が長くなく、結構ずんぐりむっくりだ。イナダヨシキリは案外多く、葦原に行くと大抵どこでも見られた。しばらく歩くと、アカシアを出入りする灰褐色の小鳥を見つける。嘴が長く、細長い体型をしている。Booted Warbler(ヒメウタムシクイ)らしい。ウグイスよりも弱い声で、動くたびに「チャッ、チャッ」と鳴いた。食堂の裏の大きな木では、Grey-headed Flycatcher(ハイガシラヒタキ)が忙しく餌を探している。マレーシアや香港で何回もお目にかかっているこの鳥は熱帯のジャングルの鳥というイメージしかないので、こんな開けたところに出てくると、かなり違和感を感じる。ホテルの庭先では、Purple Sunbird(ムラサキタイヨウチョウ)が忙しく飛び回っている。様々な花が咲いているホテルの庭は、この鳥にとっては楽園だろう。地味な砂色をしたモズはRufous-tailed Shrike(アカオモズ)。ここでは最も普通のモズらしく、至るところで見かけた。この他、Red-throated Flycatcher(オジロビタキ)、Pied Kingfisher(ヒメヤマセミ)、White-throated Kingfisher(アオショウビン)、Black Redstart(クロジョウビタキ:写真右)等を見かけることが出来た。
10時になって、ようやくガイドがやってきた。前も横もオープンのジープで早速出発。
道中の電線には、モズの仲間が時々止まっているが、何かよく分からない。最初に連れて行ってもらったのは、大きな湿地である。「しばらく、見ていて良いよ」。オイオイ、ちゃんとガイドして欲しいなぁ・・・。湿地には、カモ類、シギ・チドリ類がいるものの、双眼鏡しか持ってこなかった自分には、遠すぎて面白くない。藪に沿ってガサゴソと歩くと、Little Green Bee-eater(ミドリハチクイ:写真左), Crested Lark(カンムリヒバリ)などが出てきた。スズメを地味にしたようなのは、Chestnut-shouldered Petronia(コイワスズメ)。上空をサケイらしき影が飛ぶ。Chestnut-bellied Sandgrouse(チャバラサケイ: 写真右下)だ。
12時過ぎ、昼飯に一旦戻るという。一時間ちょっとしか見ていないんだけど!?午後は4時に出発するらしい。それまで暇やなぁと言っていたら、「ホテルの裏の畑を回るようにすると良い。誰か着いて行かせるから」。君が来るんちゃうんか?
ホテルに戻ってみると、地元の人が来て、中年の白人女性二人にアクセサリーを売りつけている。日本でも最近、アジアン雑貨という名前で、東南アジアや南アジアのアクセサリーや小物を売る店があちこちに出来ているが、原価は二束三文のものを高値で売っていることが多い。聞くと、白人のおばちゃんたちは、今年10月にツアーでオーストラリアから人を連れて来るための下見だという。色々な人が来るもんである。
うらぶれたダスティ・フォフマンのようなここの主人が、「お客さん、昼飯は用意出来ていますよ、さあ、どうぞ」というので、飯を食いに・・・。
昼食後、少し小雨が降ってきたものの、言われるままに近所を散策することにする。10歳くらいの男の子が道案内に着いて来てくれた。ホテルの敷地を出ると、そこは一面の綿花畑。鳥相は貧弱そう。時折、Rosy
Starling(バライロムクドリ)、Common Babbler(ズアカカブリヤブチメドリ)がアカシアの茂みの上に出ているのが見える。この鳥、まるでネズミのように地上を速く走る。バライロムクドリは、Gujarat州では多い鳥らしく、Dasadaの集落のゴミ捨て場でも
多く見かけた。デリケートピンクなので、綺麗な鳥のはずなんだが、あまり綺麗に見える環境にいない。畑の中から、頭だけ見え隠れするのは、Sarus
Crane(オオヅル)。渡り鳥のクロヅルと違って、こちらは家族単位での出現。地味な砂色のタヒバリはTawny
Pipit(ムジタヒバリ)。和名も冴えなきゃ、姿もいまいち。うーん、こんな鳥が多いなぁ、ここは。しばらく歩いて、ようやくサバクヒタキを発見。沢山いるという話だったが、そんなにおらへんやん。時々、ヒバリの姿を見かけるが、種類は不明。2時間近く、畑の中を歩き、足はくたくた。大木の陰で休むYellow-footed
Green Pigeon(キアシアオバト)を見た後、ようやく道路沿いの戻ったところで、Bay-backed
Shrike(クロビタイセアカモズ: 写真左)を発見。タカサゴモズとチゴモズを足して割ったような、なかなか綺麗なモズだ。
ホテルに戻ると、ガイドの兄ちゃんが待っていた。「行くで」というので、早速ジープに搭乗。再びサンクチュアリへ。途中、道路沿いを歩く、薪拾いの人たちをジープに乗せる。ここではヒッチハイクは当たり前らしく、至る所でヒッチハイクをする姿を目にする。車を持っている人はまだまだ少ないだろうから、助け合いということなんだろう。
集落の中に入ると、子供たちが「バイバーイ」と手を振りながら、走り寄ってくる。どこかで見た光景だなぁ、と思ったら、アフリカに行った時に散々見た光景だった。そういや、貧困度合いもよく似ている。
午後から入った場所は、サンクチュアリの中でもかなり乾燥したところらしい。サンクチュアリに入ってすぐ、チャバラサケイを追い散らすPallid Harrier(ウスハイイロチュウヒ)のオスに遭遇。薄い灰色の翼の先端が黒く、なかなか格好良い鳥だ。
砂漠らしい環境の中で次に出会ったのは、Greater Short-toed Lark(ヒメコウテンシ)の大きな群れ。100羽くらいはいるだろうか。それでも、地面に下りるとどこに行ったのかさっぱり分からなくなる。

しばらく車を進めると、wild ass(アジアノロバ: 写真右)の小さな群れが姿を現した。警戒心が薄いのか、近寄ってもあまり逃げない。数が激減しているというこの動物は、インドでは、ここでしか見られなくなったそうだ。
続いて大型草食獣のNilgai(ニルガイ)が登場。肩に瘤があり、レイヨウの仲間でも、より牛に近い雰囲気だ。オスは灰褐色をしているが、メスは褐色。首が長く、走っている姿はキリンにちょっと似ている。
結局期待した猛禽類はウスイロチュウヒ1羽のみ。時計を見るとまだ4時半。ガイドが、「どこへ行きたい?」と聞いてきた。そんなん言われたって、知らんがな・・・。MacQueen's Bustard(ベンガルショウノガン)探して、と言うと、「この3週間見てない」とのこと。うーん、残念。結局、ホテルに戻る途中、畑作地帯を通ることになった。
おなじみの面々が姿を現す中、畑の中で鈍い黒色の頭をした鳥が目に入った。Variable Wheatear(カワリサバクヒタキ)のようだ。畑の中の少し小高い石の上に止まって、尾を振っている。この仲間はどれもよく似た習性をしているようだ。
続いてさび色の腹をした、Rufous-tailed Lark(インドスナヒバリ)がみつかる。一見全く違いが見えないヒバリ類ばかりだが、これならさすがに違いがよく分かる。オマーンで見たDesert Larkにちょっと似ている。嘴だけが妙にごつい。
日が暮れてきて、次第に冷え込んできた。この日の探鳥はこれにておしまい。
この日の夕食は7時に用意してくれた。冷え切った体をチャイで温め、頭だけ洗ってから、ベッドに潜り込んだ。