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初夏の信州の鳥


Katakuri or Dog-tooth Violet © 2001 Koji TAGI


本州中部の山岳地帯の一部は、日本アルプスとして知られており、山地性の小鳥たちの夏の繁殖地としても有名です。避暑地として有名な軽井沢、北アルプス登山の拠点上高地、かつての山岳信仰対象の戸隠など、アクセスも比較的良く、歩きやすい道も整備された場所は初夏のバードウォッチングに最適です。

 ゴールデンウィークが終わる頃、早い夏鳥たちはまだ雪の残る山の森に帰ってきています。長野市の中心部からさほど遠くない戸隠では、アカハラ(写真左)、クロツグミ、キビタキが美しいコーラスを繰り広げています。

 アカハラたちほど華やかさはありませんが、コサメビタキセンダイムシクイ、アオジ(写真下左)も春の森の中で囀っています。

一方、特徴的な大きな声に反して、なかなか姿が見られないのがコルリです。コルリは潜行性が強く、警戒心も比較的に強い鳥で、下藪からなかなか出てきません。更に大きな声で鳴くコマドリはコルリよりも高い山で見られる傾向が強いようです。こちらもやはり声ばかり。でも、オレンジ色のオスを見つけたときはなんだかとても得をした気分になります。

 もう一種、なかなか姿の見られない鳥にクロジ(写真下右)がいます。その大きな美しい声は深緑の森の奥でもよく目立ちます。 

林縁部では、赤茶色をしたニュウナイスズメが巣づくりに精を出している横で、色鮮やかなコムクドリが静かに座っていたりするかもしれません。陽気な歌声が響いてきたら、木のてっぺんあたりを探してみましょう。黄色いおなかが見つかったら、それはノジコです。ノジコは日本でしか繁殖の知られていない、世界的にも珍しい小鳥です。その鳴き声は古来より親しまれてきました。

 6月初旬、黄緑色が深い緑色に変わる頃、カッコウたちが登場します。カッコウやツツドリの長閑な声が遠くからこだまする森から、突然ホトトギスやジュウイチがけたたましい声を響かせて森の上を飛んでいきます。アカハラによく似ていますが、一音節短い、やや慌しい声で鳴くのはマミジロ(写真右)です。真っ黒な体に白い眉が特徴的なオスの姿を見るのは、初夏の森ではなかなか難しいことですが、運良く見つけたときには思わず、はっと見とれてしまいます。

 開けた草原からは黒い頭に茶色の胸が印象的なノビタキの声が聞こえてきます。空の上では、まるで急ブレーキを踏むかのごとく大きな羽音を立てて、オオジシギがディスプレイを行っています。ホオジロにちょっと似た声で、頬の赤茶色のホオアカが潅木の枝先から囀っているのも聞こえてくるかもしれません。

 川原やキャンプ場で皆でにぎやかにバーベキューも良いですが、早起きをしてキャンプ場の裏の林や近くの植物園に出かけてみてはどうでしょう。鳥たちの素晴らしいコーラスが聞けるかもしれませんよ。


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